特定技能「製造業」|受け入れ可能な工場の見つけ方

特定技能「製造業」で外国人を雇用したいという事業者さまから大変多くの問い合わせをいただくので、本日は、特定技能「製造業」で、受け入れ可能な工場の見つけ方から実際に外国人を受け入れるまでのステップを説明していきます。

①受け入れ可能な事業所かどうか確認

まず、外国人を雇用したい事業所が、受け入れ可能な事業所かどうか確認します。

特定技能「製造業」では受け入れすることができる事業所に厳格な要件が定められているので、ここのチェックを疎かにした場合、せっかく面接をして内定まで出したのに、ビザ申請の前に、やっぱり受け入れることができませんでした。ということになってしまいます。

そうならないように、まず自社が受け入れ要件を満たしているか確認しましょう。

日本標準産業分類で確認

特定技能「製造業」で受け入れることができるのは、日本標準産業分類で分類される特定の製造業を営んでいる事業所のみとなっています。

何を作っているか?という点が重要です。例えば、自動車のラジエータを作っている事業所は受け入れ不可で自動車のウィンカーを製造している事業所なら受け入れOKといった感じです。

具体的には、以下の事業所でのみ受け入れ可能です。自社が製造している製品がどれに分類されるか確認しましょう。

この分類に関する詳細な説明は、以下の記事にあるので、ぜひご確認ください。

特定技能「製造業」|日本標準産業分類を徹底解説!!

はじめに 最近多くの登録支援機関から、特定技能「製造業」で受け入れることが可能な分野についてお問い合わせをいただくため、本日は、特定技能「製造業」で外国人を雇用…

なお、自動車部品に関してはこちらに記事にまとめております。

自動車部品工場での外国人雇用|特定技能は雇用できる?

様々な製造分野で、特定技能「外国人」の活用がすすむ中で、自動車部品工場で特定技能外国人雇用することができるか?と非常に多くの質問をいただくので、本日は、そちら…

②受け入れ可能な体制が整備されている確認

上のステップで、自社工場が特定技能「製造業」で受け入れ可能であることの確認がとれたら併せて、次の3つの要件を見たいしているか確認します。

(1)受け入れ機関の要件

労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること

1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと

1年以内に受け入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと

④ 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと

⑤ 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと

⑥ 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受け入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと

⑦ 受け入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと

⑧ 支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させないこと

⑨ 労働者派遣の場合は、派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで、適当と認められる者であるほか、派遣先が①~④の基準に適合すること

⑩ 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること

⑪ 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること

⑫ 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと

⑬ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

(2)雇用契約の要件

① 分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること

② 所定労働時間が、同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること

③ 報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること

④ 外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的な取扱いをしていないこと

⑤ 一時帰国を希望した場合、休暇を取得させるものとしていること

⑥ 労働者派遣の対象とする場合は、派遣先や派遣期間が定められていること

⑦ 外国人が帰国旅費を負担できないときは、受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること

⑧ 受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることと していること

⑨ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

(3)支援体制の要件

① 以下のア・イ・ウのいずれかに該当すること

ア 過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の受け入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ役職員の中から、支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上。以下同じ。)を選任していること(支援責任者と支援担当者は兼任可。以下同じ)

イ 役職員で過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の生活相談等に従事した経験を有するものの中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること

ウ ア又はイと同程度に支援業務を適正に実施することができる者で、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること

外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること

③ 支援状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと

④ 支援責任者及び支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと

⑤ 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと

⑥ 支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること

⑦ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

支援体制の要件

要件3つめの、「支援体制」の要件について、これまで外国人を受け入れたことのない企業さまでは、充足するのは非常に難しいです。

では、その場合特定技能外国人を雇用することができないのか?結論、「支援体制」の要件を満たしていなくても、「登録支援機関」という民間企業と契約することで、特定技能外国人を雇用することができます

支援の内容登録支援機関については、以下のページで紹介しておりますので、ぜひあわせてご覧ください。

「登録支援機関」設立要件

「特定技能」外国人を支援するための組織である「登録支援機関」になるには、厳格に定められた要件を満たさなければなりません。 登録支援機関とは 登録支援機関とは、「…

③特定技能外国人の採用

①産業分類の要件、②受入れ企業の要件を満たした後は、特定技能外国人の採用というステップに移ります。どのような外国人が、特定技能のビザを取ることができるのでしょうか?以下の2つのパターンがあります。

1)技能実習2号の修了

技能実習2号を修了した方については、無試験で特定技能に移行することができます。もっとも、移行する際には、今行なっている作業と、これから特定技能で行う作業が一致している必要があります。

例えば、鋳造で技能実習を修了した方は、「機械帰属加工」の分野での作業を行うことができます。

以下の表では、技能実習から特定技能へ移行した際に、どの分野の業務をすることができるかを記載していますので、ご確認ください。

2)特定技能試験&日本語能力試験の合格

技能実習生でない方でも、日本語能力試験N4またはA2と特定技能試験の2つの試験に合格すれば、特定技能の要件を満たします。

日本語能力試験については、スピーキングテストがないため、会話力、リスニング力は、人によって本当にレベルが違います。そのため、面接の段階でコミュニケーション力に問題がないかしっかりと確認することが求められます。

④製造業特定技能外国人材受入れ協議会・連絡会の加盟

製造業で特定技能外国人を雇用するためには、「製造業特定技能人材受け入れ企業会」という協議会に入会しなければなりません。

人材の採用と並行して、この手続きをすることになります。協議会に加入するためには、自社が特定技能で外国人を受け入れることができる事業所であることを証明しなければなりません。次のような書類を作成して、協議会に申請していく流れとなります。

⑤ビザ申請

受け入れ協議会・連絡会への入会が無事許可されたら、必要書類を集めてビザ申請を行います。特定技能で外国人を受け入れる場合には、非常に多くの書類を作成しなければなりません。

また、申請から許可されるまでの期間は、提出する時期や入管によって異なりますが、国内にいる外国人の手続きの場合は、概ね2〜3ヶ月、国外の外国人の手続きの場合は、4〜6ヶ月程度です。

「登録支援機関」立上げ伴走支援サービス

いかがだったでしょうか?「特定技能」ビジネスは、今注目を集めているビジネスで、新規参入者が後を絶ちません。しかし、特定技能という在留資格は非常に複雑で、うまく扱っていくことが非常に困難です。その証拠に過去1年間に一人も支援していない事業所がなんと25%もあるといった状況です。また、支援実績が10人以下の事業所が37%と、約半数の事業所がしっかりと事業経営ができていないという状況です。

「特定技能」ビジネスに参入したいけど、方法が分からないといった事業者さま向けに弊所では、「登録支援機関」立上げ伴走サービスを提供しております。

登録支援機関の登録から、「特定技能」に関する詳細な研修人材確保支援から営業資料作成及び商談の同席受け入れ支援まで一気通貫で支援させていただきますので、興味ある方は、ぜひお問い合わせください。

ご依頼の流れ

とりあえず話を聞きたいという企業さまも大歓迎です。雑談ベースでお問い合わせいただくことが多いので、外国人雇用のほか、相続や離婚の相談になることも多々ございます。法律に関する幅広い知識を有している、行政書士だからこそできる無料相談です。ぜひ一度お話を聞かせていただければと思います。

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