「電気工事業」で外国人を雇用する方法
近年、日本の電気工事業界では深刻な人手不足が続いています。
特に、少子高齢化の影響で若手の職人が減少しており、業界全体で新たな人材確保が求められています。
その解決策の一つとして、外国人の雇用が注目されています。
しかし、外国人を雇用するには、適切なビザの取得や労働環境の整備が必要です。本記事では、電気工事業界で外国人を雇用する方法について詳しく解説します。

「電気工事業」で外国人を雇用するためのビザの種類
企業で外国人を雇用するためには、ビザの知識が必須です。
外国人に任せる業務ごとに、該当するビザが存在し、それ以外のビザを持つを外国人を働かせてしまった場合には、不法就労助長罪で罰せられてしまうので注意が必要です。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」というビザを持つ外国人に、現場作業をさせるというのが、典型的な不法就労助長罪に該当します。
つまり、自社で働けるか否かは、外国人が持っているビザ次第ということなのです。
以下では、①現場作業、②施工管理と分けてビザの説明を説明していきます。
| 現場作業 | 施工管理 | |
| 特定技能 | ◯ | △(2号)では可能 |
| 身分系(永住・定住・配偶者) | ◯ | ◯ |
| 特定活動(例外あり) | ◯ | ◯ |
| 技術・人文知識・国際業務 | ✕(例外あり) | ◯ |

①特定技能
現場作業員が不足する企業の場合は、特定技能での受け入れがおすすめです。
特定技能外国人を受け入れるながれは以下の通りとなります。
①建設業許可の取得
500万円未満の工事の場合、建設業許可は不要であることから、許可を取っていない事業者さまも多いのではないでしょうか?
しかしながら、特定技能外国人を雇用するためには、建設業許可を取得しなければなりません。
なんらかの建設業許可を取得していれば、特定技能外国人を雇用することは可能です。
②建設キャリアアップシステムの登録
事業者登録及び外国人技能者、両方の登録が必要です。
建設キャリアアップシステムについては、こちらをご確認ください。
③JACへの加入
一般社団法人「建設技能人材機構」通称JACに加入する必要があります。
加入方法は、①JACへの直接加入、②正会員の傘下に加入、の2パターンがあります。
詳細は、こちらのJACのHPをご確認ください。
JACへの加入が完了したタイミングで、外国人の募集を開始するのが良いです。
④建設特定技能受入計画の認定申請
外国人と面接を実施し、無事雇用契約を締結したら、次のステップです。
建設業で特定技能外国人を受け入れる場合には、国土交通省に建設特定技能受入計画というものを提出し、認定を受けなければなりません。
チェックされる項目としては、報酬が日本人と同等以上か、月給制で給与支払う契約になっているか、日本人の募集をしても集まらないという状況か、などが上げらられます。
必要書類も多く非常に面倒な手続きですので、自社するのではなく、行政書士や弁護士に依頼するのが良いでしょう。
⑤出入国在留管理庁への申請
国土交通省からの認定がおりたら、出入国在留管理庁へ申請をします。
国外の外国人を採用する場合には、許可が出るまで概ね3ヶ月程度、国内の人材を採用する場合には2ヶ月程度と言われています。
もっとも、ケース・バイ・ケースですぐにこれよりも早く許可がでる場合もあれば、そうでない場合もあります。
登録支援機関との契約
特定技能外国人を雇用する場合には、受入れ機関は、日本で特定技能外国人が不安なく生活を送れるように以下の支援を行う必要があります。
1.事前ガイダンス
2.出入国する際の送迎
3.住居確保・生活に必要な契約支援
4.生活オリエンテーション
5.公的手続等への同行
6.日本語学習の機会の提供
7.相談・苦情への対応
8.日本人との交流促進
9.転職支援
10.定期的な面談・行政機関への通報
これらの支援を自社で行うためには、過去に外国人を受け入れたことがあるか、もしくは外国人のサポートを行ったことがある職員が社員としている必要があります。この条件を満たさない場合には、自社で支援を行うことができず、登録支援機関へ支援の委託をしなければなりません。
なお、特定技能外国人を受け入れる方法については、以下の記事で解説しておりますので、あわせてご確認ください。

②身分系(永住・定住・配偶者)
また、現場作業でも施工管理でも、日本人と同様に働くことができるビザが、こちらの身分系のビザとなります。
日本に長く住み、公的義務を履行している方々に付与される永住、日系人等などに付与される定住、日本人や永住者の配偶者に付与される配偶者ビザ。
これらのビザを持つ方々は、ビザの制限がありませんので、雇用の方法としては同じです。
日系人に多い、定住者については、派遣会社を通じての就労が一般的であることから、雇用するのは少し難しい印象です。
外国人労働者が最終的に目指すのが、この身分系のビザとなっています。
③特定活動(例外あり)
一部例外がありますが、特定活動というビザを持つ外国人については、現場作業でも施工管理でも雇用することが可能です。
在留カードに「指定書により指定された就労活動のみ可」と記載があれば、基本的に雇用することが可能です。
ただし、この指定書は、パスポートの裏に貼付されているので、実際に雇用する際には、指定書の内容も必ず確認しましょう。
④技術・人文知識・国際業務
施工管理で雇用する場合には、こちらの「技術・人文知識・国際業務」のビザが一般的です。
こちらのビザで現場作業のみに従事させるとは原則できないため、注意が必要です。
技術・人文知識・国際業務というビザは、いわゆるホワイトカラー職種のためのビザで、国内外問わず大学を卒業した外国人の方向けのビザと考えられています。
このビザでで想定されている業務は、以下のとおりで、「単に知識が必要というだけでは足りず、大学や専門学校などで学ぶ学問としての体系的な知識が、その業務を行う際に求められたり、業務パフォーマンスを向上させたりする程度の業務」が想定されています。
技術・人文知識・国際業務
「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動」
つまり、このビザで働くことができる業務は、「学問的な知識を必要とする業務」で、日雇い労働者やアルバイトが行うことができる、現場作業は含まれておりません。
施工管理の業務として求められる能力は、まさに学問的な知識を必要とする業務であることから、この「技術・人文知識・国際業務」というビザで、施工管理の業務に従事することが可能となっております。
しかしながら、前述のとおり、原則現場作業には従事できません。もっとも、現場作業にも多種多様なものがあること、日本人の施工管理技士でも現場作業を行う場合があること、から絶対に従事できないとは言い切れないことから、どのような作業であれば可能かどうかは、学問的な知識が必要かどうか、という観点から考えて判断することが必要になってきます。
さらに、施工管理として採用した日本人の新入社員を、研修の一環として現場作業に従事させるということをキャリアプランとして明確に定めている企業の場合には、外国人においても同様に、研修期間は現場作業に従事できる可能性があります。
この研修期間については、ビザ申請の際に出入国在留管理庁に文章で説明しておく必要があり、それを欠いて、研修として現場作業に従事させた場合、不法就労助長罪として罰せられる可能性があるので、注意が必要です。
このように、技術・人文知識・国際業務というビザで外国人を雇用する場合、慎重に出入国在留管理庁へ申請する必要があります
不法就労に該当する作業か否かは、もっぱら継続的に行われる作業が、学術的な素養を必要とするか否かで判断されます。

外国人雇用の流れ
外国人を雇用するまでの流れは、以下のとおりです。
| ①どの職種で募集するのか確定させる ②当該職種で該当するビザを把握する ③職種及びビザを指定し募集開始 ④応募があれば、面接、内定 外国人が要件を満たしているか要確認! ⑤必要な書類を集めて出入国在留管理庁へ申請 ⑥ビザがおりれば就労開始 |
特定技能外国人を雇用したい場合には、一度登録支援機関に相談してみることをおすすめいたします。
まとめ
今回は、電気工事業で外国人を雇用するための方法について説明してきましたが、いかがでしたか?
弊所では、外国人雇用に関する相談を無料で実施しておりますので、ぜひご連絡ください。


