「2024年3月大幅拡大」特定技能とは?|技能実習との違いや雇用方法を解説

特定技能とは
特定技能とは、就労系の在留資格の1つです。2019年に新しく創設された在留資格で人手不足が深刻な以下の12業種にだけ認められています。
特定技能には1号と2号がありますが、まずは1号で受け入れた後に、2号に移行するかもしくは帰国するかの流れとなるため、1号について詳しく説明していきます。
特定技能1号の特徴
・上限5年の在留資格
・企業には「特定技能外国人へのサポート」という支援義務がある
・雇用形態は直接雇用
・上の12業種で受け入れ可能
・日本人同種の業務に従事してもらうことができる
・学歴不要で、試験の合格または技能実習2号の修了で取得
新たなに4業種が追加
そして、2024年3月の閣議決定で新たに次の4業種でも特定技能外国人を受け入れることが可能となりました(各ページ遷移します)。
追加4業種
1.自動車運送業
2.鉄道
3.林業
4.木材産業


受け入れ企業の要件
上の12業種全ての企業で特定技能外国人を受け入れることができる訳ではありません。奴隷制度と言われている「技能実習」制度で多くの問題が発覚したことから、受け入れ企業には非常に厳格な要件が課せらるようになりました。
具体的には、以下の要件を満たす必要があります。
(1)受け入れ企業の要件
①労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
② 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
③ 1年以内に受け入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
④ 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
⑤ 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
⑥ 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受け入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
⑦ 受け入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
⑧ 支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させないこと
⑨ 労働者派遣の場合は、派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで、適当と認められる者であるほか、派遣先が①~④の基準に適合すること
⑩ 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
⑪ 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
⑫ 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
⑬ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
(2)雇用契約の要件
① 分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること
② 所定労働時間が、同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること
③ 報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること
④ 外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的な取扱いをしていないこと
⑤ 一時帰国を希望した場合、休暇を取得させるものとしていること
⑥ 労働者派遣の対象とする場合は、派遣先や派遣期間が定められていること
⑦ 外国人が帰国旅費を負担できないときは、受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること
⑧ 受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることと していること
⑨ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
(3)支援体制の要件
① 以下のア・イ・ウのいずれかに該当すること
ア 過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の受け入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ役職員の中から、支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上。以下同じ。)を選任していること(支援責任者と支援担当者は兼任可。以下同じ)
イ 役職員で過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の生活相談等に従事した経験を有するものの中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること
ウ ア又はイと同程度に支援業務を適正に実施することができる者で、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること
② 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること
③ 支援状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
④ 支援責任者及び支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと
⑤ 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
⑥ 支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること
⑦ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
支援体制の要件
要件3つめの、「支援体制」の要件について、これまで外国人を受け入れたことのない企業さまでは、充足するのは非常に難しいです。
では、その場合特定技能外国人を雇用することができないのか?結論、「支援体制」の要件を満たしていなくても、「登録支援機関」という民間企業と契約することで、特定技能外国人を雇用することができます。
支援の内容と登録支援機関については、以下のページで紹介しておりますので、ぜひあわせてご覧ください。
「技能実習」と「特定技能」の違い
「技能実習」については、名前だけは聞いたことがあるのではないでしょうか?ここでは、特定技能との違いについて解説していきます。
「技能実習」の目的は、「技能移転による国際貢献」であり、日本の労働力を補うものではありません。そのため、外国人は研修生という位置付けであり、技能実習修了後は原則母国に帰国して、技能移転をしなければいけないのです。
一方で、「特定技能」は、日本の労働力不足を補うための制度であり、外国人は労働者という位置付けです。
特定技能「外国人」の要件
ここからは、外国人が特定技能のビザを取得するための要件について説明していきます。
外国人材が、「特定技能」ビザを取得するためには、大きく2つのルートがあります。
1.各分野の特定技能試験に合格&日本語能力試験に合格(N4orA2) 2.技能実習2号を修了(3号修了者は一時帰国する必要があります。 |
特定技能技能外国人を雇用する方法 3選
企業が、特定技能外国人を雇用するパターンとしては、以下の3つがあります。
「技能実習」から「特定技能」
これは、現在、技能実習2号で実習中の外国人を「特定技能」で雇用する方法です。必要書類の収集やビザ申請などの手続きには3〜4ヶ月かかるので、技能実習2号が修了する日から逆算して、手続きを開始する必要があります。
「留学」から「特定技能」
日本に留学に来ている外国人は、日本語力が非常に高く優秀です。これまでは、就労ビザの王道である「技術・人文知識・国際業務」で働く場合が多かったのですが、現在は、特定技能試験及び日本語試験を受験して、学校の卒業後は「特定技能」で就労することも増えてきています。
海外から「特定技能」で呼び寄せ
特定技能試験及び日本語試験は、海外でも受験することが可能です。そのため、海外にはこれらの試験に合格した外国人も多くいます。また、過去に技能実習を修了して母国に帰国してしまった外国人もいます。
日本にいる外国人を雇用できない場合は、このように海外にいる外国人を呼び寄せて雇用するという流れになります。
海外から外国人を呼び寄せる手続きには、概ね6ヶ月程度かかることがネックですが、日本で働くことへのモチベーションがすでに日本にいる方よりも高いので、働き具合という面ではメリットとして考えられています。

特定技能外国人の雇用にかかる費用
受け入れる業種や登録支援期間、海外の送り出し機関によって、ケースバイケースですが、概ね以下のような費用感で特定技能外国人を雇用することが可能です。
項目 | 費用感 | 備考 |
---|---|---|
人材紹介手数料 | 10万円〜30万円 | 登録支援機関(エージェント)によって異なります。 |
送り出し機関への手数料 | 20万円〜60万円 | 送り出し機関によって異なります。 |
在留資格申請 | 10万円〜20万円 | 手続きをする行政書士によって異なります。 |
外国人支援費用 | 1万円〜3万円/月 | 登録支援機関によって異なります。 |
住居確保費用 | 30万円 | 企業が借り上げる場合の初期費用を想定しています。 家賃は外国人従業員に負担させることができます。 |
給与・福利厚生費用 | 25万円程度 | 日本人と同等の給与レベルでなければいけません。 概ね月給25万円が多い印象です。 |
建設業の場合の費用|JAC加盟代金24万円
建設業の場合は、他の業種と異なり、①国土交通省への計画の申請、②JAC(建設技能人材機構)への加盟金という追加で費用がかかります。
項目 | 費用感 | 備考 |
---|---|---|
国土交通省 認定申請 | 10万円 | 手続きをする行政書士によって異なります。 |
JAC加盟年会費 | 24万円/年 | |
JAC受け入れ負担金 | 1.25万円/月 |
「登録支援機関」立上げ伴走支援サービス
いかがだったでしょうか?「特定技能」ビジネスは、今注目を集めているビジネスで、新規参入者が後を絶ちません。しかし、特定技能という在留資格は非常に複雑で、うまく扱っていくことが非常に困難です。その証拠に過去1年間に一人も支援していない事業所がなんと25%もあるといった状況です。また、支援実績が10人以下の事業所が37%と、約半数の事業所がしっかりと事業経営ができていないという状況です。
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ご依頼の流れ
とりあえず話を聞きたいという企業さまも大歓迎です。雑談ベースでお問い合わせいただくことが多いので、外国人雇用のほか、相続や離婚の相談になることも多々ございます。法律に関する幅広い知識を有している、行政書士だからこそできる無料相談です。ぜひ一度お話を聞かせていただければと思います。
